小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
2017/051234567891011121314151617181920212223242526272829302017/07

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
黄昏の百合の骨 (講談社文庫)黄昏の百合の骨 (講談社文庫)
(2007/04/13)
恩田 陸

商品詳細を見る


前書き
この世は思惑にまみれている。人格の違う人物が二人以上いれば彼らの間でそれぞれ一つの物事に2通りの考えが浮かぶものである。それは似通っていて共通する考えであったり、全く正反対の考えであったり。

例えば、この家。
敷地はそれなりに大きく建てられてから何十年も経っている古い洋館である。おばあさんが住んでおり、彼女の娘、性格もルックスも違う姉妹が住んでいる。彼女らには夫がいたが、離散していたり、あるいは他界している。常に女だけが姿を見せる屋敷である。その屋敷を覆い尽くすように百合の花が庭に咲き誇っている。その強い香りが鼻がつく。いい香りというよりはきつい匂いである。その異様な雰囲気に近隣の家々とは一線を隔している。そしてなにより、おばあさんが家にいない日がない。常に洋館の体裁を成した家を見張っている。なにかに取りつかれたように家を離れない。そして定められたように毎日、百合を欠かさず活けている。

一見、偏屈なだけでなんでもないようなことが、なにか特別な意味を込めていたりする。意味のないように思える行動がとても重要だったりする。考えてほしい。

そう、これはミステリだ。なにかしらの思惑があるのだ。人が関わる時、思惑が交差しないミステリなどない。
彼女らの行動はなにか意味があるのだ。そう、この家にはなにかミステリが隠されているのだ。
物語がはじまりそうだ。
幕をあけるとしよう。


ジャンル・タグ 
祖母の家にまつわるミステリ・現代風・重量感(中)・「魔女の家」と周囲の軽蔑・一族の秘密事・物静かな姉と豪奢な妹・小動物の死と夫たちの死・長崎の西坂の丘・日本二十六聖人殉教地

評価  
最高  



「麦の海に沈む果実」シリーズ(それぞれの物語は個々別物ですが、キーワードがリンクしているシリーズ)。シリーズで最後によむべき小説(個人的にそう思います)。
「麦の海に沈む果実」の完全な続編です。ですので、「麦の海に沈む果実」を先に読むのがベストです。前作のように設定のスケールは大きくはなく、主人公の住む家と家族でおきる古風なミステリとしてシンプルに仕上がっています。前作より、ファンタジー感が減り、現実味、リアリティがある内容でした。この作品単独で読むこともありだと思います。他の3作品に比べ、癖がなくとても読みやすいです。季節は10月~12月です。秋や冬に読むのがベストでしょう。ミステリ好きは読みましょう。また、表紙が暗く、タイトルも暗いタイトルですが決してホラーではありません。この小説は怖くはないので、ホラー的要素があると思った人は別の本を探しましょう。内容が良いだけに、この表紙のセンスに残念です。の表紙は内容にそぐわないです。テーマ、内容は派手さはないですが、伏線は多く、謎は後半まで引っ張り、王道パターンです。ワクワクを後半まで、恩田さんありがとうございます。この作品はシンプルな分、深みは他の作品が勝ってると思います。


感想ネタバレ↓
[恩田陸 黄昏の百合の骨(「3月は深き紅の淵に」キーワードシリーズ④)]の続きを読む
スポンサーサイト
やっと更新できました。うれしいです。只々、早くUPしたいばっかりに小説の紹介は後日にw
すみません。私は読むのも遅いばかりか、ひとつの小説を紹介するのにも半日ぐらい使わないと書きあげられないので、
今回は今読み終えたシリーズのオリエンテーション的なページをつくろうと思いまして。時間があれば、随時、内容を深くして良ければなぁと思っています。ただいつ更新するかは未定ですが。

「麦の海に沈む果実」シリーズ

「3月は深き紅の淵に」
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
(2001/07/13)
恩田 陸

商品詳細を見る


「麦の海に沈む果実」
麦の海に沈む果実 (講談社文庫)麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
(2004/01/16)
恩田 陸

商品詳細を見る



「黒と茶の幻想」
黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)
(2006/04/14)
恩田 陸

商品詳細を見る

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)
(2006/04/14)
恩田 陸

商品詳細を見る



「黄昏の百合の骨」
黄昏の百合の骨 (講談社文庫)黄昏の百合の骨 (講談社文庫)
(2007/04/13)
恩田 陸

商品詳細を見る



このシリーズは私が、他のサイトを参考にし、本を実際に読んでみて、勝手に「シリーズ」と呼んでいます。
そして作品は今のところ4つ。


最近読み終えた本は「黄昏の百合の骨」です。恩田さんのこのシリーズ以外の本を読んでいないので一概には言えないですが、恩田さんの作品の特徴は、ミステリで始まり、伏線、伏線、伏線、新事実、どんでん返し、さらにどんでん返し、結末あっさりのパターンで締めくくられています。なんとも私に合っています。結末を長くしないで余韻を残すやり方は読み終わった後にその後のストーリーを想像、妄想したい人にはばっちり合っているでしょう。

さて、ここで例えばあなたがこのシリーズを読んでみようと思います。その時、どの作品から手をつけるかが問題になってきます。なぜなら、この作品群には第1巻、第2巻などと、「こっちから読んでね」という手引きされていないのです。よって、ここで思い付くのは発売された順に読むことです。わからないときは正攻法でせめてみます。

出版順だと

「3月は深き紅の淵に」
「麦の海に沈む果実」
「黒と茶の幻想」
「黄昏の百合の骨」

です。
当然、私は性格上、この順番から読んでみたわけですが、
この順で読んだ感想としてはなんか残念な読み方だったなぁーと感じました。
このことは、実際の小説の紹介しているページでも言っています。

確実に期待して「3月は深き紅の淵に」から読むと失敗します。

「3月は深き紅の淵に」は、4行ごとに主語がチェッジして二つのテーマが同時進行している章や、物語を断片的に切り取っていて隅から隅まで語らない章があり読み込まないと意味不明です。というか、「麦の海」を読まないと完全には理解できないです。さらに短編集なので話が淡泊に感じてしまって「短くてわけわかんないし、期待はずれ」といってしまう可能性があります。ど真ん中ストレートボールではなく、ワンバンする低めのフォークボールみたいなものな小説なので最初に読むと失敗です。どうして、こんなに頑なに、順番について話しているかというと、シリーズを全部読んでほしいからです。「3月」から読んで「3月」で挫折してほしくないのです。きっと最後まで読み終わった時充実感があると思うんです。面白いと思うですよ。


前置きが長かったですが、私のおすすめの順番はこちら
「麦の海に沈む果実」
「3月は深き紅の淵に」
「黒と茶の幻想」
「黄昏の百合の骨」

もしくは

「麦の海に沈む果実」
「黄昏の百合の骨」
「3月は深き紅の淵に」
「黒と茶の幻想」

です。正直、「麦の海に沈む果実」を最初に読むなら後はどの順番でもいいような気もします。

「黄昏の百合の骨」は完全に「麦の海に沈む果実」の続編です。なので「黄昏の百合の骨」を読んでもよし。

「黒と茶の幻想」は「麦の海に沈む果実」の登場人物が別のキャラクター性を持って、別のシチュエーションで出てくるので「麦の海に沈む果実」読破後によむとよりキャラクターギャップや違いが臨場感を伴ってあなたをワクワクさせるでしょう。

「3月は深き紅の淵に」を2番目に選ぶなら、「麦の海に沈む果実」の作品が出来上がる過程を描いた「3月は深き紅の淵に」の第4章「回転木馬」の章を忘れないうちに堪能できるでしょう。私がおすすめしたのはこの順番ですが、「3月は深き紅の淵に」はなんといっても、「黒と茶の幻想」についても語られているので3番目に読む「黒と茶の幻想」のエピローグ的に使えるので選びました。ただ問題は「黒と茶の幻想」は上下巻あり、読破するのに苦労するので、2番目に「麦の海に沈む果実」の続編の「黄昏の百合の骨」をもってきて、「黒と茶の幻想」を最後に読むことにするのもいいかもしれません。ちなみに、このシリーズで一番好きなのは、「黒と茶の幻想」です。文章量も多く、本筋と関係ないエピソード群がいっぱいあり、しんどい小説ですが、4人視点。4人の心理描写。4人の人生観。4人の歩んだ道。4人の関係性。など深い。この内容の深みに溺れました。ミステリとしては少し目劣りしますが、内容は大好きです。

というわけで、さっそく「麦の海に沈む果実」からよんでみてください。
麦の海に沈む果実 (講談社文庫)麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
(2004/01/16)
恩田 陸

商品詳細を見る


前書き
彼女は不安に苛まれていた。
知らない男に連れられて進む車窓の外を見ると、辺り一面が灰色の湿原が広がっていた。
目に映る淋しい、うらびれたその風景にこの先にくる現実に灰色の気持ちにさせられる。
車のドアを開け、2月の終わりで雪の匂いと冷気がさあっと吹き上げる。
北のその湿原に近づいていくと、こんもりとした森に覆われ、人工的な山があることが分かってきた。

男は「青の丘」と呼んだ。
本当に、青かった。丘というよりも、山に近い。丘の周りは湿原に続く巨大な池になっていることが分かった。
―陸の孤島―湿原の中の要塞である。
彼女は空恐ろしさを覚え、同時に即視感を覚える。
あれが、これから、学園生活を送る場所だ。
世間から見放された「灰色の湿原」と「閉鎖的な青の丘」を見ると彼女を憂欝にさせる。
そしてまた、とても、とても彼女を郷愁の思いにさせる。


ジャンル・タグ 
ローファンタジー要素含んだ学園ミステリ・現代風・重量感(中)・不思議の国のアリス・鏡の国のアリス・学園の生活・学園の失踪事件・学園の秘密・学園の真実

評価  
最高  

「麦の海に沈む果実」シリーズ(それぞれの物語は個々別物ですが、キーワードがリンクしているシリーズ)。シリーズで最初によむべき小説(個人的にそう思います)。

感嘆しました。面白かったです。この小説のくくりは一般的(某書籍サイトなど)にファンタジーに分類されていますが、かなりミステリに比重を置いていますね。ミステリ小説と考えていいと思います。最初読んでいるときは、テーマがいまいちとらえどころがなかったです。読み進めた結果、例えるなら「魔法を使わない、日本版のハリーポッターのような学園世界で失踪事件が発生するミステリ」です。どこが良いかというと、物語の中でミステリの伏線の張り方が最高なのと、あいかわらず、心理描写、人物描写がうまいことです。キャラクターは適度にそれぞれ個性が立っていて、キャラクターのリアリティ感が好きですね。そしてなんといっても、オチが個人的、大好きでした。いやー、引き込まれました。


感想ネタバレ↓
[恩田陸 麦の海に沈む果実(「3月は深き紅の淵に」キーワードシリーズ①)]の続きを読む
黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)
(2006/04/14)
恩田 陸

商品詳細を見る

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)
(2006/04/14)
恩田 陸

商品詳細を見る

前書き
人間というものは、苦痛や不幸がないと、自分たちが生きているという実感がない。せっかくいつまで良い夢を見ていられるというのに、彼らは決して満足しない。幸せであることに疑問を持つ。幸せが続いていると、彼らはだんだん不安になるのだ。「こんなに幸せが続くはずがない」「なんか幸せすぎて怖い」
自ら悪夢を作り出さずにはいられない。

それは人間の本質をついている。

地球が誕生して何十億年経てから今まで「変化」しないということがなかったはずだ。地球が誕生したのも、人間が誕生したものも、秩序が乱れ、「変化」が起こり続けた賜物である。すなわち、人間が今も生き続けているのは「変化」という線路に乗り続けているからだ。そして今後も人間が生き続けていくにはやはり「変化」という線路を進み続けることが必要である。
「変化」は「エネルギー」を必要とする。
「エネルギー」を使って進み続ける人間の生命。人生。

一方で、幸せとは秩序だ。秩序は「エネルギー」を要さない。それではいつまでたっても、「現在」という駅から出発することはできず、「変化」という路線を走り始めることができない。つまり、人間の死を意味する。常に、生物にはハッピーエンドが許されていないのはそのためだ。だからこそ、彼らは幸せに懐疑的になるのだ。劇的な展開を求めることもそのためだ。人間のサガというやつである。

わたしは今、読み進めている、この物語に「変化」を求めて、ページを滑らせる。
やはり、私も人間のサガからは逃れられないのだと知る。


ジャンル・タグ 
旅と追憶のミステリ・現代・重量感(大)・4人の視点・4人の考え方・4人が持っている謎・4人の関係性・主人公バトンリレー・初秋の壮年男女の旅・主観的な考えと客観的な意見・過去の人生を振り返る物語


評価  
最高  

「麦の海に沈む果実」シリーズ(それぞれの物語は個々別物ですが、キーワードがリンクしているシリーズ)。シリーズで3番目に読むべき小説(個人的に)。

なかなか読みごたえがある本でした。分厚くはないですが、恩田さんの思考がぎっしり詰まった本という感じがして、読み進めていくのは、重みがありました。ミステリであり、サスペンスであり、ジャンルとしては至極な味わい。時代設定は現在であり、初版が古いので時代錯誤がちょぴっとありますが、気にならない程度です。恩田さんって、人間観察、分析をするのが好きなのかもしれないと思わせる内容でした。人の心を読める力を備えているかもしれないですね。日常に起こる社会生活も、他愛無いちょっとしたミステリアスなエピソードも、男女の色恋沙汰も、まずは、観察から。そして分析して推理する。それが恩田さんって感じでした。季節は9月の秋。


感想ネタバレ↓
[恩田陸 黒と茶の幻想(上)(下)(「3月は深き紅の淵に」キーワードシリーズ③)]の続きを読む
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
(2001/07/13)
恩田 陸

商品詳細を見る


前書き
ミステリとは、単に殺人事件がおきて、それを推理して解決することをいうわけではない。

不可解なトリックのある殺人+名推理 がミステリではない。

ミステリ、謎の失踪事件がおきて、その謎を追っていくんだって良い。名も知らない辺境の地へ引っ越してきた村の住人が、奇天烈で薄気味悪い言動を主人公に差し向け、その奇妙な世界に主人公が引きずりこまれてしまう話だって良いのだ。そのゾワゾワとした、そのはらはらさせる謎を含んだストーリーに「ミステリ」という存在をみるのだ。

例えば、「三月は深き紅の淵を」という本を例にしてみれば良い。この本はほんとに謎なのだ。何が謎かというと、「三月は深き紅の淵を」という本のストーリーが一切書いていないのだ。書いてあるのは、その作品が何部で構成されているだとか、作品のすばらしさを語られたり、作品がどのような構想で書かれているかを書いているだけで、肝心のこの作品のストーリーが記載されていないのだ。ほんとに謎な本。予告、宣伝だけで本編が書かれていない本。だからこそ、無性にそのストーリーが記載された「三月は深き紅の淵を」という本を読んでみたくなる。

人は謎を求めたがる。人のサガはとても mystery である。


ジャンル・タグ 
ミステリ・サスペンス・現代・重量感(中)・幻の本「三月は深き紅の淵に」・本の存在意義・本を読む読者の視点・本を書くと決めた哀しいプロローグ・本を書く作家の視点・一人称と三人称のロンド

評価  
素敵 

「麦の海に沈む果実」シリーズ(それぞれの物語は個々別物ですが、キーワードがリンクしているシリーズ)。シリーズで2番目に読むべき小説(最後の方がしっくりくると思うですが、どうでしょう?)。

幻の本「三月は深き紅の淵に」にまつわる短編集。小説をあまり読まない人は気持ちに共感しにくいかもしれません。そう思わないとしても、ミステリなら素直な本を選択するのがいいかもしれません。しかし、小説をよく読む人は読んでみるべき本です。小説好きには思わず「なるほど」うなずいてしまう小説ではないでしょうか。なぜなら、小説の良さを読者視点で解説、説明していくストーリーだからです。しかも、著者(架空の著者)の性格判断があったり、ミステリでもありつつ、小説家の頭の中を少しだけ覗かせてくれる物語となっているからです。小説の物語の流れの一本調子な面に慣れている小説好きにはおすすめしたい本です。数ある小説の中ではマニアックな小説ではないでしょうか。内容がマニアックというわけではなく、文章の構成という意味で。


感想ネタバレ↓
[恩田陸 3月は深き紅の淵を(「3月は深き紅の淵に」キーワードシリーズ②)]の続きを読む
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。