小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
2011/11123456789101112131415161718192021222324252627282930312012/01

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ななつのこ (創元推理文庫)ななつのこ (創元推理文庫)
(1999/08)
加納 朋子

商品詳細を見る




拝啓、あなた様

いったいいつからミステリの魅力に取りつかれしまったのでしょうか。いつから、ファンタジーを離れて、推理によって謎を解き明かす小説に取りつかれ、サスペンスなハラハラドキドキのミステリ小説に取りつかれ、色々なミステリの魅了に取りつかれてしまうようになってしまったのでしょうか。
いつだって、どこだって手元にミステリがあったのです。

突然の何の手紙と思われたことでしょうね。
本日、<ななつのこ>を読ませていただきました。私にはうまく表現できませんが、読み終えてからの私の気持ちをいくらかでもお伝えできたらと思い、こうしてペンをとっています。

月並みで恐縮ですが、とても良かったと思います。本を手に取った瞬間から感じ、不思議に思っていたのですが、この作品に私は終始、奇妙な懐かしさを覚えるのです。郷愁、とでもいったらいいでしょうか。

というのもこの作品には、たくさん私のことが書かれているのです。

大げさかもしれませんが、私、いや私たちの身の回りには様々なミステリが巻き起こっているにもかかわらず、私たちはそれを無視し続けてきたのです。なぜなら、必ずしも私たちが解き明かす必要はなく、ましてや必ずしも何か私たちの得になるものではないからです。しかしながら貴女の著書「ななこのこ」を、改めて自分のミステリを見出してみようと思いました。

そして、私はどうしても共感と感謝の気持ちを伝えたくて、衝動的ではありますがこの手紙を送らせていただきました。


ジャンル・タグ 
ほのぼの日常ミステリ&1/3スケール恋愛小説・重量感(中)・作家とファンの手紙のやり取り・本「ななつのこ」についての謎解き

評価  
素敵 

加納朋子さんの初読です。ミステリでありながら、殺人や主人公の逃走劇など、殺伐とした雰囲気とは全く対照的で、心をほっとさせるような日常生活におけるミステリです。加納さんの文章は最初の章から始まり、結末を読み終えるまで優しさに包まれ、とても心が洗われました。刺激や興奮を演出する小説たちの中で、愛情や信頼を主体にさせた文章をみていると、癒しの場所として、寛げる小説として帰ってくる場所がまだまだ残されているなあと安心感でいっぱいになります。そう、加納さんの物語は、故郷のようなものなのです。さあ、あなたも故郷の地に戻ってみてはどうでしょう。注意としては、古い作品なので時代錯誤を確実に感じます。連作短編です。

感想ネタバレ↓
[加納朋子 ななつのこ]の続きを読む
スポンサーサイト
黄昏の百合の骨 (講談社文庫)黄昏の百合の骨 (講談社文庫)
(2007/04/13)
恩田 陸

商品詳細を見る


前書き
この世は思惑にまみれている。人格の違う人物が二人以上いれば彼らの間でそれぞれ一つの物事に2通りの考えが浮かぶものである。それは似通っていて共通する考えであったり、全く正反対の考えであったり。

例えば、この家。
敷地はそれなりに大きく建てられてから何十年も経っている古い洋館である。おばあさんが住んでおり、彼女の娘、性格もルックスも違う姉妹が住んでいる。彼女らには夫がいたが、離散していたり、あるいは他界している。常に女だけが姿を見せる屋敷である。その屋敷を覆い尽くすように百合の花が庭に咲き誇っている。その強い香りが鼻がつく。いい香りというよりはきつい匂いである。その異様な雰囲気に近隣の家々とは一線を隔している。そしてなにより、おばあさんが家にいない日がない。常に洋館の体裁を成した家を見張っている。なにかに取りつかれたように家を離れない。そして定められたように毎日、百合を欠かさず活けている。

一見、偏屈なだけでなんでもないようなことが、なにか特別な意味を込めていたりする。意味のないように思える行動がとても重要だったりする。考えてほしい。

そう、これはミステリだ。なにかしらの思惑があるのだ。人が関わる時、思惑が交差しないミステリなどない。
彼女らの行動はなにか意味があるのだ。そう、この家にはなにかミステリが隠されているのだ。
物語がはじまりそうだ。
幕をあけるとしよう。


ジャンル・タグ 
祖母の家にまつわるミステリ・現代風・重量感(中)・「魔女の家」と周囲の軽蔑・一族の秘密事・物静かな姉と豪奢な妹・小動物の死と夫たちの死・長崎の西坂の丘・日本二十六聖人殉教地

評価  
最高  



「麦の海に沈む果実」シリーズ(それぞれの物語は個々別物ですが、キーワードがリンクしているシリーズ)。シリーズで最後によむべき小説(個人的にそう思います)。
「麦の海に沈む果実」の完全な続編です。ですので、「麦の海に沈む果実」を先に読むのがベストです。前作のように設定のスケールは大きくはなく、主人公の住む家と家族でおきる古風なミステリとしてシンプルに仕上がっています。前作より、ファンタジー感が減り、現実味、リアリティがある内容でした。この作品単独で読むこともありだと思います。他の3作品に比べ、癖がなくとても読みやすいです。季節は10月~12月です。秋や冬に読むのがベストでしょう。ミステリ好きは読みましょう。また、表紙が暗く、タイトルも暗いタイトルですが決してホラーではありません。この小説は怖くはないので、ホラー的要素があると思った人は別の本を探しましょう。内容が良いだけに、この表紙のセンスに残念です。の表紙は内容にそぐわないです。テーマ、内容は派手さはないですが、伏線は多く、謎は後半まで引っ張り、王道パターンです。ワクワクを後半まで、恩田さんありがとうございます。この作品はシンプルな分、深みは他の作品が勝ってると思います。


感想ネタバレ↓
[恩田陸 黄昏の百合の骨(「3月は深き紅の淵に」キーワードシリーズ④)]の続きを読む
関連記事
やっと更新できました。うれしいです。只々、早くUPしたいばっかりに小説の紹介は後日にw
すみません。私は読むのも遅いばかりか、ひとつの小説を紹介するのにも半日ぐらい使わないと書きあげられないので、
今回は今読み終えたシリーズのオリエンテーション的なページをつくろうと思いまして。時間があれば、随時、内容を深くして良ければなぁと思っています。ただいつ更新するかは未定ですが。

「麦の海に沈む果実」シリーズ

「3月は深き紅の淵に」
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
(2001/07/13)
恩田 陸

商品詳細を見る


「麦の海に沈む果実」
麦の海に沈む果実 (講談社文庫)麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
(2004/01/16)
恩田 陸

商品詳細を見る



「黒と茶の幻想」
黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)
(2006/04/14)
恩田 陸

商品詳細を見る

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)
(2006/04/14)
恩田 陸

商品詳細を見る



「黄昏の百合の骨」
黄昏の百合の骨 (講談社文庫)黄昏の百合の骨 (講談社文庫)
(2007/04/13)
恩田 陸

商品詳細を見る



このシリーズは私が、他のサイトを参考にし、本を実際に読んでみて、勝手に「シリーズ」と呼んでいます。
そして作品は今のところ4つ。


最近読み終えた本は「黄昏の百合の骨」です。恩田さんのこのシリーズ以外の本を読んでいないので一概には言えないですが、恩田さんの作品の特徴は、ミステリで始まり、伏線、伏線、伏線、新事実、どんでん返し、さらにどんでん返し、結末あっさりのパターンで締めくくられています。なんとも私に合っています。結末を長くしないで余韻を残すやり方は読み終わった後にその後のストーリーを想像、妄想したい人にはばっちり合っているでしょう。

さて、ここで例えばあなたがこのシリーズを読んでみようと思います。その時、どの作品から手をつけるかが問題になってきます。なぜなら、この作品群には第1巻、第2巻などと、「こっちから読んでね」という手引きされていないのです。よって、ここで思い付くのは発売された順に読むことです。わからないときは正攻法でせめてみます。

出版順だと

「3月は深き紅の淵に」
「麦の海に沈む果実」
「黒と茶の幻想」
「黄昏の百合の骨」

です。
当然、私は性格上、この順番から読んでみたわけですが、
この順で読んだ感想としてはなんか残念な読み方だったなぁーと感じました。
このことは、実際の小説の紹介しているページでも言っています。

確実に期待して「3月は深き紅の淵に」から読むと失敗します。

「3月は深き紅の淵に」は、4行ごとに主語がチェッジして二つのテーマが同時進行している章や、物語を断片的に切り取っていて隅から隅まで語らない章があり読み込まないと意味不明です。というか、「麦の海」を読まないと完全には理解できないです。さらに短編集なので話が淡泊に感じてしまって「短くてわけわかんないし、期待はずれ」といってしまう可能性があります。ど真ん中ストレートボールではなく、ワンバンする低めのフォークボールみたいなものな小説なので最初に読むと失敗です。どうして、こんなに頑なに、順番について話しているかというと、シリーズを全部読んでほしいからです。「3月」から読んで「3月」で挫折してほしくないのです。きっと最後まで読み終わった時充実感があると思うんです。面白いと思うですよ。


前置きが長かったですが、私のおすすめの順番はこちら
「麦の海に沈む果実」
「3月は深き紅の淵に」
「黒と茶の幻想」
「黄昏の百合の骨」

もしくは

「麦の海に沈む果実」
「黄昏の百合の骨」
「3月は深き紅の淵に」
「黒と茶の幻想」

です。正直、「麦の海に沈む果実」を最初に読むなら後はどの順番でもいいような気もします。

「黄昏の百合の骨」は完全に「麦の海に沈む果実」の続編です。なので「黄昏の百合の骨」を読んでもよし。

「黒と茶の幻想」は「麦の海に沈む果実」の登場人物が別のキャラクター性を持って、別のシチュエーションで出てくるので「麦の海に沈む果実」読破後によむとよりキャラクターギャップや違いが臨場感を伴ってあなたをワクワクさせるでしょう。

「3月は深き紅の淵に」を2番目に選ぶなら、「麦の海に沈む果実」の作品が出来上がる過程を描いた「3月は深き紅の淵に」の第4章「回転木馬」の章を忘れないうちに堪能できるでしょう。私がおすすめしたのはこの順番ですが、「3月は深き紅の淵に」はなんといっても、「黒と茶の幻想」についても語られているので3番目に読む「黒と茶の幻想」のエピローグ的に使えるので選びました。ただ問題は「黒と茶の幻想」は上下巻あり、読破するのに苦労するので、2番目に「麦の海に沈む果実」の続編の「黄昏の百合の骨」をもってきて、「黒と茶の幻想」を最後に読むことにするのもいいかもしれません。ちなみに、このシリーズで一番好きなのは、「黒と茶の幻想」です。文章量も多く、本筋と関係ないエピソード群がいっぱいあり、しんどい小説ですが、4人視点。4人の心理描写。4人の人生観。4人の歩んだ道。4人の関係性。など深い。この内容の深みに溺れました。ミステリとしては少し目劣りしますが、内容は大好きです。

というわけで、さっそく「麦の海に沈む果実」からよんでみてください。
関連記事
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。