小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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サマータイム (新潮文庫)サマータイム (新潮文庫)
(2003/08)
佐藤 多佳子

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前書き
俺が右手、左手が彼女。曲はサマータイム。ガーシュウィンのオペラ曲。彼女の下手な伴奏でも、俺は満足だった。今、雪が降り積もった季節に、この手紙を見るとあの汗ばんだ夏の日を思い出す。

しっかりしろっ!、男の子のように乱暴に叫んでは、自転車をおれが乗れるまで、スカートが破れるまで手伝ってくれた彼女の声が古い手紙から蘇ってくる。

臆病風を吹かせた俺に素直に返してくれた彼女。
事故を契機に一度、足踏みしてしまったが、俺はバランスをとってまっすぐ自転車のペダルを踏むように、地に足を付けようとしている。俺の中に流れるメロディは灰色から、確固たる色を付けて流れていく。

とにかく、やってみる。
俺なりのベストをつくして、がんばってみよう。
俺の耳の中には、サマータイムのメロディーが鳴り続ける。



ジャンル・タグ 
青春ヒューマン小説(青春恋愛小説)・現代・重量感(小)・ジョージ=ガーシュウィン・ジョージ=シアリング・決心のためのプレリュード・片手弾きのサマータイム・恐怖心の克服・四季のピアニストたち

評価  
素敵 

シンプルでストレートな感情表現が妙に心地良くて、静かに底から熱さを感じる文章。そのうち読みたいと思っている「一瞬の風になれ」のプレリュードとして佐藤多佳子さんのデビュー作を読んでみました。薄くて読みやすいです。森絵都さんの書く物語のスタイルとかなり近い印象がありました。しかも、この小説の文庫の解説は森絵都さん。まさにうってつけの解説者。「サマータイム」この小説の季節は春から冬まで展開されていくので、別に夏におすすめというわけではないですね。青春50%、ヒューマン25%、恋愛25%のさらさらした切なさと静かな情熱感がたまらない作品でした。佐藤さんの読んでいない作品もとても期待できそうです。

感想ネタバレ↓
本を読む時間が昔ほど取れないので、最近は読書をスタイルを厚い本と短い本を並行して読むスタイルにしました。必然的に短い本を紹介することが多くなって申しわけないです。

佐藤さんの本は初めてです。森絵都さん、梨木香歩さん、小川洋子などが好きなら、この著者さんもとても好きになれるでしょう。

物語は夏、春、秋、冬の章と4つあり、、それぞれの物語の章で主人公が変わっていきます。連作短編みたいな感覚ですが、1つの物語としてみれます。ジョージ・ガーシュウィンの作曲したオペラ『ポーギーとベス』の黒人が歌う子守唄サマータイム(Summertime)・ジャズをサブテーマとした小説。ピアノ関連の用語がちらほら出てきます。

小学生の伊山進は、浅尾広一という自動車事故で左手を失った少年と出会います。広一の母親友子は、ジャズピアニストで、広一も小さい時からピアノという世界が身近にありました。進は片手だけでも、情熱的にピアノを弾く広一に憧れと信頼を寄せます。彼のピアノ演奏に惚れ込んだ進は、姉が使わなくなったピアノを練習していきます。

第一章・サマータイムは、進の友情ストーリー。一章をを読んだとき、2章が主語が変わっているので短編集かと思いましたが、物語はつながっていたので安堵しました。(短編集を読む頻度が多く、短編集にマンネリ感を抱いていたので)文章は端的で心理描写も率直でわかりやすく、学生の方にも読みやすい内容した。第一章は、オチが弱かったです。もう少し引っ張ってもよかったなという感想があります。

第二章・五月のみちしるべは、進の姉、佳奈の広一と出会う前のほのぼのヒューマンエピソード。ここを読んだ時に「森さんだ」と思いました。森絵都さんの小説と近いと感じました。

第三章・9月の雨は、広一のトラウマを克服する青春ヒューマンストーリー。個人的にはこの章が一番好きでした。というよりも、情熱感を求めていた今の私には、グッとくるもがありました。父を失ったことと、左腕を失ったことと、母親の新しい恋人、将来の展望と、青春期を真っ只中の広一のジレンマがとてもよくわかり、その自分の人生に葛藤する文章に、胸熱な感情を抱きました。

第四章・ホワイト・ピアニスト、おてんば姫の佳奈のちょい恋愛物語。調律師センダくんのと関わりと、広一への思い。さわやか。佳奈がとてもいいキャラしています。キャラがたってて良いです。これまたオチが弱いと感じました。物足りなさは少しありました。

佐藤さんの本はなんともストレートな言い回しがなんともさわやかで、次読むときも期待できそうです。


素敵な言葉どもが記事の跡

「思ったとおりやればいいじゃない。ずっとそういう風にしてきたじゃない」
「母さんはきっぱりしているほうがいいよ・うじうじしてんのはイヤだよ。弱気になんかなるなよ。なげたりするなよ。言い訳なんかするなよな」
「きついわね」
「あの人、好き?」
「好きよ」
「本当に、本当に?」
母さんはうなずく。
「じゃ、いいじゃない。俺、何も言うこと、ないよ」
強がりなんかじゃない。母さんが、本気で惚れているなら、それでいいんだ。だけど、迷うくらいなら、やめちまえ。本当さ。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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