小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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虚空の旅人 (新潮文庫)虚空の旅人 (新潮文庫)
(2008/07/29)
上橋 菜穂子

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前書き
<第4章 サンガル王国>
見渡すと、そこは広大な海岸線が続いていた。青い空に、青い海が続き、潮風が香る。ひと際、目をひく王宮は、巻貝を模してつくられた四つ尖塔をもち、壁も、屋根も<貝陶板>で覆われている。それは光をやわらかくはじき、王宮自体が輝いているように見える。

紺碧の海に白く輝く王宮と家々。淡い桃色の岬。まさしく海に浮かぶ珊瑚の都である。交易と海産物によって栄える国。今年、王国では、<新王即位ノ儀>がとり行われる。周囲の国々にもその招待状は届けられ、数十隻の巨大な帆船が<望光の都>をめざして、集まってきている。

この海風の音とは別に、少女が歌っているような異国の歌が聞こえてくる。なにかに取りつかれたように無心に。海の匂いはさらに濃くなったような気がする。開放的なこの国には、良いことも、良からぬことも分け隔てなく、流れ込んでくる。



ジャンル・タグ 
ファンタジー・重量感(中)・エスニックなアジアン王国・星読博士と呪術師・裏取引・若き皇子の旅・強大帝国の影

評価   
良書

守り人シリーズ第4作目。王道ファンタジーです。今回は3つ目の別の国に、ストーリーの舞台が移ります。一話完結だから「虚空の旅人」からも読み解けます。ストーリーの季節は夏です。守り人シリーズがはじめてだったら、バランスのとれた物語に面白さを覚えるでしょう。シリーズを読んできた人だったら、この物語にマンネリ感を抱くかもしれません。物語の展開が読みやすいというのが欠点なっています。どこかでどんでん返しがあったらよかったです。


感想ネタバレ↓
新ヨゴ皇国の皇子チャグムが主人公。彼が旅に出るきっかけになったのは、新ヨゴ皇国の西南に位置するサンガル王国の新王が決まり、新王が即位する儀式に新ヨゴ皇国にもお呼びがかかったからです。星読博士シュガと御供とともにサンガル王国にむかった一同。そのころ、サンガル王国の島々の一つのとある村の少女の様子が異国の歌を歌っていることに島人が気付くのです。少女は、かつてチャグムが体験した異世界の匂いを放ち、サンガル王国の青空に灰色の雲を予感させる出来事でした。サンガル王国に呪術師が一人。これもまた不穏な香りを漂うわせているようでした。

チャグム成長の章で、少し、寄り道をした「外伝」のようなストーリー。チャングがどのように思い、どのように行動するか、模索する話。まだ幼さが残りますが、のちに偉大なことを成し遂げそうな気がします。

大分、前作を読んでからスパンがあきましたが、内容はすんなり入ってきました。というのも、上橋さんの小説はとても親切なので(むしろ過保護すぎるぐらい親切)、ちゃんと前作の情報で必要なことは要約してわかりやすく文章に盛り込みます。全部読んだ私としては、品行方正なストーリーが目につきすぎて、後の展開も結末も、最初のころの文章で予見できてしまうの少し残念でした。獣の奏者のような、正義も悪も表裏一体でつきまとってくる文章だとより素晴らしかったと個人的は思いました。しかし、嫌いな作品というわけでは全くなく、バランスのとれたファンタジーで、良書の一つでした。前3作と比べると、マンネリ感も手伝って目劣りする作品ではあったと思います。星のおうじさまカレーのように甘いカレーで、辛口なカレーであった方が私の口には合っていたようです。

敵方から見れば、主人公たち側のすきをつくチャンスが結構あったように思います。そこもなんとなく出来レースに思えました。


一口メモ
ナユーグル…異世界
ナユーグル・ライタ<海の母の子ら>…海の底の民が乗り移った子ども
ナユーグル・ライタの目…
ラッシャロー<海にただよう民>…船で生活する人々。海の不思議を知っている。トアラ・ヤルターシ・ナー<本当の海の民>
タッカ・ドルラ<島付きの民>…島に住む人々。航海技術に優れている。敬意を示してヤルターシ・シュリ<海の兄弟>
シグル・ナソイ・ラー<海の底でうたう子>…別名スー・コン・ラー<風になった子>


素敵な言葉どもが記事の跡
チャグムは、もう点のように小さくなったハヤブサを、なおも目で追いながら、いった。
「わたしは、あえて、この危うさを持ち続けていく。天と海の狭間にひろがる虚空を飛ぶハヤブサのように、どちらとも関わりながら、どちらにもひきずられずに、ひたすら飛んでいきたいと思う。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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