小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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第24回 三島由紀夫賞・山本​周五郎賞 選考結果発表 5/17

http://www.shinchosha.co.jp/news/<5/17 新潮社ニュース>を参照

第24回三島由紀夫賞  
【受賞】『こちらあみ子』 今村夏子
こちらあみ子こちらあみ子
(2011/01/10)
今村 夏子

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第24回 三島由紀夫賞 候補作
『海と川の匂い』 伊佐山ひろ子 (リトルモア 2010年6月刊)
『アナーキー・イン・ザ・JP』 中森明夫 (新潮社 2010年9月刊)
『神的批評』 大澤信亮 (新潮社 2010年10月刊)
『こちらあみ子』 今村夏子 (筑摩書房 2011年1月刊)
『ビリジアン』 柴崎友香 (毎日新聞社 2011年2月刊)
「ぬるい毒」 本谷有希子 (「新潮」 2011年3月号)

選考委員:小川洋子、川上弘美、辻原登、平野啓一郎、町田康 /登壇者: 町田康

選考過程
まず『アナーキー・イン・ザ・JP』と『海と川の匂い』は最初に候補として外された。
議論が進んで『こちらあみ子』と『ビリジアン』に2作に絞られた。
2作の票が割れた形となった。
前者をおす選考者と、後者をおす選考者でわかれた。
3VS2で『こちらあみ子』に決まった。

選考者の意見
『ビリジアン』 
肯定的意見:
緻密な、整理されている文章と思いきや、精緻な織物のようになされている。文章が瞬間の連なりを描いていてみごとである。いろいろなばらばらな配置がありながら統一な世界観を描いている。物語で物を語ろうとしない。
否定的意見:
他人のアルバムを見ているような感じ。定型的な技法にたよりすぎている。作者に対する関心に依存しすぎている。

『こちらあみ子』
肯定的意見:あみこの存在感が圧倒的。あみこの世界がなにも象徴的でなく、おもわせぶりがない。あみこを視点としているが、読者にあらかじめ開示されていないところが小説の緊張感を保っている。 
否定的意見:図式的、構造的。ジャンルが作者の得意とするところなのではないか。今の社会を感じない。

今村夏子さんの声

初々しい記者会見となりました。喋りはあまり得意ではない様子で沈黙が結構続きました。影響受けた作品は「宮本輝」の「夢見通りの人々」や「ムーミン」シリーズらしいです。『こちらあみ子』は半年で休みの日を使って描きあげたそうです。
「つじつまがあわないところを直す作業が楽しかった」
「読む人のことは意識してなかった」
「軽い気持ちで応募し、書き上げていく中であみこという存在が出来上がっていった」
「今後は考えない。次の作品も探そうとも思っていない。受賞してからも考えられない」
と語っています。


第24回山本周五郎賞
【受賞】『ふがいない僕は空を見た 』 窪美澄
ふがいない僕は空を見たふがいない僕は空を見た
(2010/07)
窪 美澄

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第24回山本周五郎賞候補作
『ふがいない僕は空を見た』 窪美澄 (新潮社 2010年7月刊)
『下町ロケット』 池井戸潤 (小学館 2010年11月刊)
『折れた竜骨』 米澤穂信 (東京創元社 2010年11月刊)
『民宿雪国』 樋口毅宏 (祥伝社 2010年12月刊)
『本日は大安なり』 辻村深月 (角川書店 2011年2月刊)
『ちょちょら』 畠中恵 (新潮社 2011年3月刊)

選考委員:浅田次郎、北村薫、小池真理子、重松清、篠田節子 /登壇者 重松清

選考過程

満場一致で、『ふがいない僕は空を見た』点数は満点。
選考員がすべて○をつけた。高い評価で決まった。
『下町ロケット』と『民宿雪国』は議論として最後まで残った。2位は『下町ロケット』。ただ、1位と2位の差は大差。

選考者の意見
『折れた竜骨』は時代がハードルになっている。面白さは折り紙つき。宗教観、思想を掘り下げてほしかった。

『民宿雪国』は異種格闘技のようなもの。5作が同じ土俵で戦っているが、『民宿雪国』は別の土俵に立っているため、選考で議論を要した。文体が繋ぎ合わせたパッチワークに思える。偶然か作為的なのか。チープである。

『下町ロケット』はストーリーありき。

『ふがいない僕は空を見た』は登場人物が良い。ストーリーがありきでなく、人物が先にある。少年が登場出てくるとこが作り物めいていない。

窪美澄さんの声
「生老病死という言葉があり妊娠出産は老い、死というものを含んでいるが、雑誌では書けなかった。小説というフィクションなら書けると考えた」
「ふがいなさはだれでも経験する状況があると思う」
「ふがいない僕は、だれか個人をさしているわけでない。人はだれでもふがいないじゃないかと思う」
「影響受けた作品は村上春樹と村上龍」
「自分の受賞より今村さんの受賞がうれしい」
「今、この日本がですね、ふがいない国で生きている状況で、しょうせつとか、フィクションの力はすごく多き者ものなので、期待しすぎてもいけないですが、自分を遠いところへとばしてくれる。本を買って本をよんでほしい」
と語っています。



文芸春秋が扱うのが、芥川賞、直木賞ならば、新潮社が扱うのが、三島賞、山本賞です。芥川賞と直木賞が有名ですが、むしろこちらの二つの方が本好きには本命にでしょう。

なぜなら、芥川賞は枚数、文字数制限がありますし、短編になりますが、三島賞、山本賞は中編の賞であるので、選ぶ小説の対象が広くなります。枚数制限で落ちていた面白い小説も拾われるわけです。

ちなみに、三島賞は芥川賞を受賞すると候補になりません。逆はあります。また、山本賞も、直木賞をとる前の文学賞です。少し前の本屋大賞と比べて見るのも面白いかもしれません。三島賞・山本賞は選考員が任期制です。芥川直木賞は年2回ですが、三島山本賞自体は一年に一回です。文学賞は話題作りですが、話題作りしなければ、もっと文学衰退が進むのでないと困るのです。

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