小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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ツ、イ、ラ、クツ、イ、ラ、ク
(2003/10/23)
姫野 カオルコ

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前書き
子どもの頃に考えていることは大人になったときに考えることと本質的にはさして変わりがない場合が多々ある。

が、大人になると、自分が子どもの頃を忘れ、まだ「子ども」だからという思考が浮かぶ。

子どもだから、そういうことを考えないわけがない。
子どもだから、まだそういうことをしていないわけがない。
あなたもそうであったように。

人にとって、自分が待っている真実だけが真実なのである。
子ども騙しは 「子どもを騙す」ではなく、「子どもが騙し」ていたのだ。



「気持ちいい。唇と唇が重なり合うことがこんなに気持ちいいことなんて」



ジャンル・タグ 
コミカルで官能的で切ない恋愛小説・重量感(中)・カリカチュア・「○○と○○はデキている」・学生時代の陰険さと明朗さ・カリカチュア・過去の青春の懐かしさ・ヘンリーミラー「北回帰線」・生徒と先生

評価  
最高  

「昭和の犬」を読んで、姫野さんの作品を何作か読みたくなりました。「昭和の犬」は個人的に面白い小説ではありませんでしたが、とても「流暢な」、「慣れている」文章だったのでストーリーがはまれば、傑作があるのではないかと思って読みました。個人的には面白かったです。とても卑猥で、ですがとても本音で、実寸大より少しのテンション高めの大量の登場人物たちは、どんな子も流暢でした。活劇的であり、かと思えば、どんどん浸っていくとても切ない恋愛小説でした。多彩な心理描写とキャラクター設定、博学多才を垣間見せる舞台背景。舞台は新選組や歴史的人物や数学を使った大量のメタファーたちは印象的でした。滋賀弁?がデフォルト。時代錯誤は、微かに感じるかも知れないです。個人的には気になりませんでした。性的表現が多いので、苦手な方はご注意ください。


感想ネタバレ↓
第1章呼鈴
第2章本鈴
第3章授業
第4章弁当
第5章放課後
第6章下校
第7章道草
第8章家

8章で構成された長編小説です。読む前にタイトルを見て思ったことは、陰険で、ドロドロした悲しい官能小説であるのかと思って読みました。読み始めてみると、タイトルと表紙とは対照的に、カリカチュアがきていて、軽いコミカルな文章でサクサク読めたのを覚えています。主人公は、森本隼子という女性。彼女の小学生から、最終的には成人女性までの人生を、学生時代中心に垣間見れます。物語の2/3は小学生時代の話、中学生時代の話です。ここがメインのストーリーで、昔から小説のテーマとして使われてきたであろう、生徒と先生という禁断の恋、という定番の内容であり、王道の物語を紡ぎ出しています。

定番でありつつ、物語の描き方は、隼子視点で、ひたすら彼女の想いと行動を追っていくような一人称な純愛物語ではなく、隼子の友達、同級生、先輩、先生、色々な視点で、彼女彼ら自身の物語を語っています。ある意味で、出てくる登場人物は、みんな主役ともみれますが。最終的に読み終われば、隼子ともう一人が主人公であることがわかります。この小説は、隼子と同じ時間軸で生きている人達もその時どき、「私が主人公」という感覚が味わえるのが面白かったです。「誰それちゃんは誰々が好き」で、それによって、友情や、三角関係、勘違いで生じる憎しみなど、多角的に物語として攻めてる感じが良かったです。キャラクターたくさん出てくるので、読んでいてメンドくさいと思う人もいるかもしれませんが、主人公以外の客観視点、スピンオフ的発想は、私の大好物です。

隼子ともう一人は、普段は全然興味も持っていないし、あまり話を交わしたこともないのにも関わらず、何かに引っ張られるように、密会し言葉では嫌いあっていたのに、体ではとても愛あっていたのは、不覚にもドキドキするというより、ぞくぞくしました。すみません。

ちょっと違うですが、不倫を連想するようなイメージ。禁じられた恋というより、禁じられた愛みたいな。ダメとわかっているのにやってしまう。抑えているのに抑えきれない気持ち。だって二人はとても相性がいいのだから。



私があげた中では、生徒と先生の恋物語は、島本理生「ナラタージュ」、川上弘美「センセイの鞄」などがあります。
そのなかでは断然、個人的にはこの小説は一番ですね。ナラタージュは、最後が書きすぎで。センセイの鞄は、ほのぼのすぎて。あるいは薄いというか。



素敵な言葉どもが記事の跡

寄ってくるものは疎ましく、逃げるものに焦がれる。恋するとは、この循環に陥る場合がおうおうにしてある厄介な感情である。

女は下半身の煩悩をほかの女と共感するより、上半身のそれを共感することで友情を感じ、男は上半身のそれより、下半身のそれをほかの男と共感するとき、友情を感じる。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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