小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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平面いぬ。 (集英社文庫)平面いぬ。 (集英社文庫)
(2003/06)
乙一

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前書き
「石の目」
メデューサ、蛇の髪の毛をもった女性であり、見たものを石に変えてしまう。Sさんの住む町には昔から伝わる都市伝説みたいなものがある。目と目を合わせると見たものが石化してしまう石ノ目という妖怪のことである。Sさんは母親と早くから生き別れている。それは、石ノ目のせいではないか。真相を確かめるために石ノ目の住む山に登山に向かうのだが...

「はじめ」

飼育係である耕平は誤ってひよこを殺してしまった。先生にばれるのを恐れたが、ひよこを殺した犯人をはじめという架空の人物になすりつけた。目撃者である木園はそれに同調した。そこから三人は一緒に遊ぶようになる。奇妙な生活が始まった。

「BLUE」
アリーの骨董店に並ぶものは売れそうない奇妙なものばかりだ。偶々そこを通りかかった人形作家ハリーはそこで買った生地で人形を作ったが、その人形もまた奇妙だった。

「平面犬」
たまたま街で見かけた女の子の左腕にはマークのようなものが確認できた。よくみると犬のタトゥーのようだ。あれ、一瞬目を離したすきに犬の絵柄が変化したように見えた。いや、きっと気のせいだろう。


ジャンル・タグ
サスペンスでローファンタジー・現代(近代)・重量感(小)・切ない・石化・人形・ペット・友情

「石の目」「はじめ」「BLUE」「平面いぬ。」の4編からなる短編集。
本を売っているサイト等ではホラーandファンタジーというくくりになっているようですが、ほとんど怖さはないと思います。「石ノ目」だけですね。全般的にはサスペンスという領域に近いと思います。もちろん、ファンタジー要素もあります。怖さを求める場合は若干違います。短編で、状況設定も簡潔で、読みやすいです。


評価
  
良書

感想ネタバレ↓

「石ノ目」 ☆☆☆☆
老婆のきもち。石ノ目の気持ち。なんか切ない。

親友を自分のせいで無くす。

予期しなかったこと。

石ノ目だけが認めてくれたこと。

孤独から楽しい日々から孤独。

悪魔のように、変人のように接する訪問者。自分の息子からの拒絶。

でも、やっと石ノ目のところに行けるんだ。親友、一度も見た事のない石ノ目を最後の最後見た。彼女はやっぱり美しかった。老婆、うれしかったろうな。救われた思いだ。怖さとは相対的なものなのだなと思う。Sも恐怖を感じただろうが、老婆の恐怖はSの幾億倍もあったろう。



「はじめ」 ☆☆☆
生きているとはなんだろう。

死ぬことなのか。

死んでしまって誰も自分のことを思い返さなくなること。

忘却されることが死。

あの日からはじめは消えたが、はじめは死んでなんかいない。

耕平、木園が生き続ける限り、はじめは思い出されるのだろう。

思いを馳せることがはじめが存在しているということ。

はじめは生きているということ。

時をかける少女を連想した。ぜんぜんストーリー違うけど。たぶん男2人女1人っていう設定だからかな。あとは淡い切ない?点でかな。乙一さんにはそんな長編を書いてほしい気にさせる作品。切望します。



「BLUE」 ☆☆☆☆
すごいすごい惜しい。予期された設定、着実にこなしていくストーリー、それは尻上がりに面白さを
積み重ねていく。子どものような単純なかわいさ、かなしさ、喜びがそれがよかった。最後が楽しみだったが、オチは悲しい気持ちにさせた。
それはフランス料理のフルコースで、ぜんざいがきて、魚料理がきて、肉料理を食べる腹の調子にしていたのに。
もう一度、魚料理を出されて愕然させる。
魚料理はもう食べたよと言いたくなってしまう。
魚料理が得意で肉料理が下手だとしてもここはお口直しが欲しかった。
これだけはHAPPY ENDが欲しかった。



「平面いぬ。」 ☆☆☆
乙一さんの書くものはある風景をみていても確実に大多数が見る方向とは別の方向をみています。
読んでいてその視点が何度もあります。
しかも、人の負の面を書かせたら、一度は考えうるだろう人の内面、
自分でも言われなければ脳裏によぎりもしなかった感情を引き出させます。
「平面いぬ。」も多くの人が何かしら内面において一度考えたことのある感情あるのではないでしょうか。共感できてしまう。
今読むと、本筋とは関係ないが、インターネットネタは古く感じてしまう。
ネットはほんと身近になったw

文章がこの四つのストーリーを読んでいろんな形の切なさを知らされた。
そう思うと、こんだけ切なさを表現するのが得意ならばHAPPY ENDをお書きになれば、渾身の切なさの後にくるハッピーエンドとはどれほどのものだろうと思ってしまいます。



素敵な言葉どもが記事の跡
「はじめ」の最後の場面です。

「幻覚が人を好きにあるんだからさ。はたからみれば、正常ではないということがね。だからおれは、とにかくきみが幸せになるようにすればいい、とだけ言ったんだ。結局、彼女は、きみに告白はしないという選択をしたんだね。友達として、ながい間いっしょにいられる道をとったんだ」

私は急に気付いた。

なぜ八年間もはじめが消えなかったのか。

それは、消えたくなかったからなんだ。






最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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