小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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塩狩峠 (新潮文庫)塩狩峠 (新潮文庫)
(1973/05)
三浦 綾子

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前書き
舞台は明治維新以後の内容です。銀行員の貞行の息子である主人公の人生を描いた道徳的なヒューマンストーリー(+αで、ラブストーリー)


ジャンル・タグ 
恋愛チックなヒューマン小説・明治維新後・重量感(大)・純愛・キリスト教との出会い・北海道の列車

人にはそれぞれ性格も体格、容姿も違う中で、人はなんのために生きているのか、何のために死ぬのかを考えさせるもの、あるいは人間の存在意義というものを自分の中で考えさせられる内容でした。特にこの小説では、キリスト教がキーワードとなっていて、聖書の内容を引用する形で人があるべき道を説いています。

別に私がキリスト教を信仰しているとか無神論者とか、そういう問題は抜きにして考えさせられるものがあるかもしれません。



評価
  
良書

感想ネタバレ↓

主語の一人称(私の一人称の使い方が間違っていたらすいません)が主人公以外にも、場面によっては様々な人が一人称で出てきて、主人公以外の人の考えている気持ちがわかってしまうのが残念でした。なるべく主人公の気持ちを知った上でその周りの人はどう思っているのか自分で考えたりしたかったなと思いました。また、割と心情描写が多いので、少し疲れるかもしれません。

個人的な意見で、やはり中盤の内容のマンネリ感は慣れていないキリスト教というキーワードがちょっと少し自分には重くなってしまって、そのように感じました。

もう1つは、子どものしゃべっているとこに関してなんですが、こどもらしい素直な気持ちを率直に言う形はすごくよかったです。ですが逆に子どもらしい、人と接するのに恥ずかしい、シャイになってしまうという気持ちが発言の中にもっと感じられるとうれしかったです。

私達がすぐ身近にあるようなもの(生きるとか愛するということ)に主人公たちがとてもまじめにぶつかって暮らしていることがわかります。特に最後の展開は劇的で切なくて、だかしかし、一人の人間の動かしがたい信念というものを身近に感じたようでした。

ある見かたではこの結末もハッピーなのだろうと思いました。

節目節目は、道徳的に私達が考えたり悩んだりすること、考えさせるものが散りばめられています。

自分以外の人がどう思うかはわかりませんが、感動して涙してしまいました。読む方は中盤にかけては少し長いなぁと感じるかもしれませんが、この小説の見所はたぶんやはり最後にあるので読みきって欲しいです。

素敵な言葉どもが記事の跡
主人公と吉川の会話。この文が好きなんです。

「永野君、いまふっとおもいついたことだがね。世の病人や、不具者というものは、人の心をやさしくするために、特別にあるのじゃないかねぇ」

吉川は目を輝かせた。吉川のいうことをよく飲み込めずに、信夫が怪訝そうな顔した。

「そうだよ、永野君、ぼくはたった今まで、ただふじ子を足の不自由な、かわいそうな者とだけ思っていたんだ。何でこんな不幸せに生まれついたんだろうと、ただただ、かわいそうに思っていたんだ。だが、ぼくたちは病気で苦しんでいる人を見ると、ああかわいそうだあ、なんとかして苦しみが和らがないものかと、同情するだろう。もしこの世に、病人や不具者がなかったら、人間は同情ということや、やさしい心をあまりもたずに終わるのじゃないだろうか。ふじ子のあの足も、そう思って考えると、僕の人間形成に、ずいぶん大きい影響を与えていることになるような気がするね。病人や、不具者は、人間の心にやさしい思いを育てるために、特別の使命を負ってこの世に生まれて来ているんじゃないだろうか」

吉川は熱く語った。

「なるほどねえ。そうかもしれない。だが、人間は君のように弱い者に同情する者ばかりだとはいえないからねぇ。長い病人がいると、早く死んでくれればいいとうちの者さえ心の中では思っているというからねぇ」
「ああ、それは確かにあるな。ふじ子だって、小さい時から、足が悪いばかりに小さい子からもいじめられたり、今だって、さげすむような目で見ていく奴も多いからなぁ」

「じゃ、こういうことはいえないか。ふじ子たちのようなのは、この世の人間の試金石のようなものではないか。どの人間も、まったく優劣がなく、能力も容貌も、体力も体格も同じだったとしたら、自分自身がどんな人間かなかなかわかりはしない。しかし、ここにひとりの病人がいるとする。甲はそれを見てやさしい心が引き出され、乙はそれを見て冷酷な心になるとする。ここで明らかに人間は分けられてしまう。ということにはならないだろうか」

「このごろは自分がこの世に何のとりえもない存在だと思うようになっていたんだ。しかし今、吉川君の話を聞いていると、この自分もまた何らかの使命をおびている存在ではないかと、あらためて考えさせられたよ。花には花の存在価値というものがあるんだな。花を見て美しいと思い、不思議と思う心が与えられているかどうかは、やはりぼくたちにとって大きな問題なんだろうね」





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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