小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
2017/051234567891011121314151617181920212223242526272829302017/07
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バルタザールの遍歴 (文春文庫)バルタザールの遍歴 (文春文庫)
(2001/06)
佐藤 亜紀

商品詳細を見る


前書き
私、メルヒオールには双子のバルタザールという兄弟がいる。だが、私達の周りの人達はただ、私達兄弟をただ一人の人間としか見ない。

というのも、一人の人間の中に私達二人がいるのである。

それは二重人格というものとも違う。どちらも独立した存在。
私はこの兄弟バルタザールとともに歩んだ人生について、この手記から話すことにしよう。


ジャンル・タグ 
ローファンタジーな歴史小説・1930年代のEU・重量感(中)・セレブの放蕩生活・酒と恋愛の武勇伝・双子とごろつき

お話はナチス台頭前後のウィーン、パリが舞台。
物語の特徴は物語の主人公が思い出を振り返り、手記にそれを綴っていくスタイルです。アダルトでクラシックな小説。※官能的な表現が含まれています。


評価  
良書

感想ネタバレ↓

文体は古風で、年配でダンディな帰国子女が書いたような文章で綴られていきます。言い回しは馴染みのないです。

うたい文句にナチス、ウィーンときているので、戦争に身を投じざるを得ない主人公の物語だと思っていましたが、センチメンタルな感じではないです。社会情勢はあまりかたられません。どちらかというともっと生活感にリアリティがある小説。という意味では、その頃時代背景風土、社会等が先に入っていると、より本書が楽しめるのではないかと感じる。

ずっと読んでいくと、昔のオーストリア貴族はこんな暮らしをしているのかなと想像を膨らませるとできます。この物語では双子はバンバンお金を使っていきます。結構官能小説的な雰囲気もあります。若干その件に飽き飽きします。

私は小説を読むとだいたい、後半の展開がすきだったりしますが、この小説は通して読むと、前半の方がすきですね。

前半では貴族の主人公の母親が帽子大量を買い、その帽子屋に支払いを催促されて、払ってもらえるか金銭の心配をされる恥で、亡くなってしまうとか、その金の使い方が派手なことに、今の私とその頃の貴族との価値観の差にびっくりした。本当だとしたら。

中盤から新展開になり、ワクワクが膨らましたが、そこから今までの小説の雰囲気が変わり、個人的には気分は下降してきました。なんか、急にファンタジー、オカルトな奇想天外な感じになり、前半の件とマッチしてない気がしました。かつ登場人物の関係の自由の許容度をゆるめて、後半の展開もなんでもありな感じで残念な感じでした。

本文より
朝一番に管財人に電話し、我が家の財政状態についての仔細をきくことにした。
年金の金額と条件、義母の相続時の扱いも、概ね満足すべきものだった。試しに屋敷を売れるかどうか聞いてみたが、管財人は恐れ多いと言わんばかりの様子で口を濁した。本来なら楽隠居という歳でありながらお役御免など考えたこともないようだった。骨の髄まで古風な封建制度染み込んでいて、それはそれで馬鹿ばかしい気がしたが、欲に目がくらむこともなさそうだ。


うーん、改めて自分が生活する環境によって物の判断価値、あるいは思想というのは、きっと見る視点も視野も大きく変わるものなのだと思わせる文章のくだりですね。そういう意味ではもし過去、未来の自分を発見することができれば、外見は同じでも、あまりにも考え方がかけ離れていることに驚愕することもなくもないなと感じました。

素敵な言葉どもが記事の跡
主人公と関わったナチスの軍人のこと。
その辺のやくざ者とどこが違うと言うのだろう。制服を着ている分、質が悪いくらいだ。彼らの制服を憎みながら、なぜ憎むのか訝しんだが、実の所、私達は薄々気がついていたのだ―その辺のごろつきを包んで軍人に仕立て上げる制服、合法化された犯罪、天職に高められた残虐さ、即ち権力と暴力の結合の卑しさに。


回想は主観的に十分悲劇的だった。
そんなのは自業自得だと言って笑われかねないのは知っている。ウェルテルもハムレットも、そう言ったひねくれ者の論難からは逃れられなかった。
かつてバルタザール自身そうした犬儒派の一人だったが、その意見によれば、マクベスだろうとロミオだろうと、自業自得ではない悲劇などありえない。全く自分の所為ではない不幸が次々に襲いかかってくる芝居があったら、抱腹絶倒の大喜劇に違いない、言うのである。


自業自得ではない悲劇などありえない、とは言い切れないと思いますが、あえてそう思って教訓すること。
自分を戒めるための言葉。





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
にほんブログ村 本ブログへ

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://kkk12liliyom.blog69.fc2.com/tb.php/63-dbf6544d
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。