小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
2017/031234567891011121314151617181920212223242526272829302017/05
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)
(2007/10)
小川 一水

商品詳細を見る


前書き
「時間遡行」、今という時間から過去という時間にさかのぼること。

あの時間にもどってやり直したい。。
あの時間に思い出を取り戻したい。。


私達はいつでも「あの日に戻りたい」を思い描く夢想家である。
ここに未来から降り立った戦士達が歴史の1ページをぬりかえる物語。



「俺達が、時代を流れを変えてみせる」



ジャンル・タグ 
SF・ローファンタジー・重量感(小)・タイムスリップ・時間遡行軍VS謎の機械軍・心を持った未来の知性体・乙女な女王

分量の厚さといい、物語の進め方といい、軽快という言葉があてはまる文章です。すごい読みやすいです。その意味と表裏一体で、物足りなさ、もっと物語を濃密にできたんではないかという思いが湧いてきます。タグがローファンタジーなのは、歴史の人物も出てくるからです。それにしても、この物語を読むと、歴史というのは未来の人間が塗り変えてはいけないものであるなと感じました。


評価  
普通

感想ネタバレ↓
この小説に惹かれた点は、まず表紙です。小川さんの作品なのか、ハヤカワ文庫JAの作品がそうなのか、このスタイルの表紙は私は大好きですね。なんといってもきれいです。アニメ絵ぽくなくて、絵画的な質感がいいです。表紙は「老ヴォールの惑星」の方が個人的には好きですが、「時砂の王」の内容の方が興味を惹かれたので、こっちを読みました。

内容としては、
今から約600年後の地球、科学技術は進歩し、時代をタイムスリップする技術を手に入れます。そこから判明したもう一つの事実もありました。この時代から未来には、人間の住む世界はないこと。人類絶滅。宇宙から現れた人類を滅ぼそうとする地球外の「物の怪」、機械音をギリギリと轟かせて襲いかかってきます。人間達は謎の機械軍に対抗するべく、戦闘能力の備わった知性体を量産しました。時間遡行軍は、これから、あらゆる過去とよばれた時代に降り立りたちます。なぜなら謎の機械軍も時代遡行して、人類に危害を加えるからです。累計天文学的な数の年月、戦い続けていきます。この本はその一コマです。

西暦2500年代で太陽系の星を次々と、違う惑星に生活拠点に置けるという設定は個人的は嫌でした。500年、1000年そこら短い時間では無理があるんじゃと思って。SFに信憑性をもちあげてもしょうがないですが。金星で機械が自己増殖したり、海王星を拠点を置いたり、時代による思想のギャップの差がないこと等も。

ところで、読んでいる途中からそう思っていたのだが
本文より
「君たちはここから過去へ跳び、ET(エネミー・オブ・テラ)を阻止する。今の太陽系の余力で、準備できる限りの物資や知性体を同行させる。しかし状況と敵戦力はまったくの未知数だ。こちらの戦力が不足することが十分に考えられる。だから君たちの第一任務はETとの直接対決ではない。現地の人類に危機を伝え、その戦力を可能な限り引き出すことが最重要だ。メッセンジャー諸君、伝えろ、そして命じろ。自らと未来を守るために戦えと」


なぜ、メッセンジャー達は未来の人類のために、戦うでしょうか。設定としては知性体であるメッセンジャーは未来人のために過去に遡ってタイムスリップしてきた機械軍と戦うのが使命として作られます。なるほど、大義名分としては、人類に未来はないわけです。機械軍のせいで人類滅亡阻止。機械軍を倒したとしても主人公の生まれた現在とは時間分岐点の違う未来しか生まないわけだが、人類のいる未来を救うために。しかし、どうしても私には違和感があるです。もとの未来は?と。

↓過去の時代
「オーストラリア政府の閣僚たちは協議の最中に目を剥いたよ。我々が山を削れば、従来の何倍もの鉱脈が露出すると言って聞かせたんだが、生態系と民族居留地が消えてなくなることが我慢ならなかったらしい。途中で、全員、席を蹴って帰ってしまった。自分の国と人類の歴史のどちらが大事なのだか」
「歴史なんて目に見えんものに奉仕する気は、それは一朝一夕には湧かないだろうよ」


メッセンジャーの立場からすれば、未来を守りたい、未来の人類を守るために、かつ、この過去の時代の機械軍を倒すために必要なこと。でも、どうしても、違うと思うですよ、メッセンジャー達の描いている計画は。そもそも、前提が間違っているんじゃないかと。未来、現在に人類に希望がない(機械軍にやられる)から過去に戻って人類のいる未来を作り出す。でも、結局最初に出発した未来とは違う未来を作り出すだけ。元の未来は?過去にたとえ戻って時間遡行軍が機械軍を倒そうと、元の未来の人達の現状は何もかわらないでしょうと。その元の未来の人達のために、望みがないとしても戦うべきじゃないのかって。今、そこで生きている人達(サヤカなど)のために。時間遡行軍の未来を救うとは何たる傲慢なんだろうって。最後に、時間遡行軍は機械軍を根絶させ、人類の未来を保つことができました。
確かにAの未来の失敗を糧にBの未来は成功に導きました。救えたんです。Aの未来は死んだまま。

上記のようなことを、主人公Oも考えていて、カッティの考えに対して反発していたんでしょう(私の勝手な考察)。
主人公Oは、見えない100の犠牲より近くの1の命を守りたいという考えだと、私は後半を読んだ限りではそう受け取りました。それだったら、主人公Oは気付くべきですよ。過去にタイムスリップすること自体が、「100より1」の考え方に反していたことに気付くべきなんですよ。自分だけが違う考えに至ってると思っている現状を。気付かぬ傲慢に。過去に行って後戻りできないのはわかってます。ですが、死ぬまで気付かなかったのはどうなんですか。別れ人のことを思い出して、彌与のことをサヤカだと代わり抱いているのは場合じゃないです。彌与は彌与、サヤカはサヤカです。

当然カッティに憤慨する筋合なんか主人公Oにはないです。同じなのだから。ある意味、カッティは指令塔としては正しい考え方だと思います。

なにか、このクライマックスで恋愛色に染まっていましたが、ぜんぜん同調できません。ほとんどそれは単にAの未来人への裏切りでしかないと思います。短い小説だったのですが、色々考えることがありました。

素敵な言葉どもが記事の跡
幹は彌与にだけ聞こえる声で言った。
「吾は一度、思ったんです。使いの王が来なければよかったと。あの人が彌与さまを奪ってしまったから。だけど、そのせいで王は...」

この本では、肯定的な進め方なのかもしれませんが、個人的には歴史というのは、未来の人間が塗り変えてはいけないものだなと思いました。正史とは干渉しない形となっているとはいえ、結局、決めるのはその時代の人間であるべきで、未来の人間が過去の人間達を救うなど、未来人の傲慢なエゴだとしか思えません。結局、正史に干渉しないと言っても、影響が出ないわけないですよね。歴史はその時代の人が作ってほしいです。それが、たとえ、未来の時間の人を救ったとしても。

余談ですが、最初から出てきた割には幹はなんとなく影薄いキャラで、存在感がほしかったです。






最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
にほんブログ村 本ブログへ

この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
この記事のトラックバックURL
http://kkk12liliyom.blog69.fc2.com/tb.php/66-dbbedd67
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。