小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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檸檬のころ (幻冬舎文庫)檸檬のころ (幻冬舎文庫)
(2007/02)
豊島 ミホ

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前書き
北高、それは私達の思い出。いろいろなことがあった。
あの頃の私達はいつも変わらない、つまらない日常を過ごしてきたと思っていた。
実際、何一つ特別なことはない、どこにでもあるようなことだ。

だけど、今、こうして地元に帰ってきて、高校生3年間過ごしてきた高校を見上げると、
辺り一面に積もった雪道を好きな同級生といっしょに帰ること、学校で一日中好きな人のことで悩むこと、担任の先生の悪口を言うこと、それぞれが宝物のように思える。

学校の近くに見える金子商店の店主も、東京の大学に行ってしまった友達もその一人だ。北高の思い出をみんな持ってる。きっと、校門でしゃべり合っているあの子達もそう思うときが来る。


北高を思い出にする時が。

ジャンル・タグ 
恋愛・青春(学園)・重量感(小)・淡い恋・ごく当たり前の日常・伝わって欲しいけど伝わらない・密かに繋がっている人々の関係


評価  
普通

北国で田舎にある北高に関わる人達のお話。生徒、先生、OB、近隣の人。彼らが語る7つのショートストーリー。それぞれ7人の主人公が彼らの視点で北高からお届けするストーリー。どこの日常でもあるような日々をそれぞれの思いともに読者にお届けします。連作短編です。※性的表現が含まれています。

感想ネタバレ↓

最初これを買った時、短編集だと思いませんでした。短編と言っても連作短編。ふつうに1タイトルの100~200ページの物語を期待して読んでいたのです。物語の1章が終わって2章になったら主人公が変わり、主人公の性別が別だったため、この二人が後でくっつくんだろうなとすぐ思いました。しかし、3章に入っても主人公の名前が違うため、あ、これは短編集なんだとここで気付いました。そこで、1章、2章はあれで完結なんだって、物足りなさを感じてしまいました。当然、短編集ときづいたらそんなことなかったのかもしれませんが。これは完全に私のミスでした。

内容としては、
北高校(だと思います)という高校の周りで繰り広げられるお話で、主に高校生が主人公になり、彼らの日常を描いていく感じです。読んでみると、ほんとどこにありそうな生活、感情が描かれています。自分、友達、想い人、恋人、知人のことで悩んだり、助け合ったり、恋したりします。

個人的に手にとりたくなる表紙、タイトルフレーズです。読みたくなった要因の一部でもあります。文章は今の高校生のしゃべり方を反映させるように故意的に軽くした、くずした感じで書かれています。ひとによっては、違和感があるでしょう。文章自体は読みやすいです。ただ、固有名詞が出てくるので、確実に時間が経つほど時代錯誤を感じるかもしれません。例えば、コンビニ名、外食店の固有名詞、ファブリーズ、携帯を持つかどうかの議論、MDプレイヤー等。
今読んでも、一世代違うなってことが読んでるとわかります。

タイトルはこちら。
1.タンポポのわたげみたいだね
サトが都合よく、電車に乗り込んできたのがちょっと。「いつも」、というか、「最近は電車でいっしょに通学しない」って説明されてるのになんで、あのタイミングの時だけ都合よく乗ってきたのかなぁって。説明があるならいいですけど、とりたてて、「誰ちゃんが教えてくれた」とか、「二人が約束したのを聞いた」だとか、ひとことほしかったです。このストーリーと「担任稼業」だけは不完全燃焼な感じしました。

2.金子商店の夏
受験失敗がリアルですね。そして共感できます。私も浪人したことがありますし、頭がわるいので。受験浪人でコンビニで昔の同級生と鉢合わせとかは切ないです。しかも、相手がカップルは。救いは、同級生が近況を質問しなかったことですね。

3.ルパンとレモン
実質の主役、秋元さん。これも共感できますね。このすれ違い感。関係ないですけど、富蔵って名前はなんとかならなかったのかな。ちびまるこちゃんのおじいちゃんを思い出してしまうだが。ともぞうだけど。

4.ジュリエット・スター
たまきのことはともかく、あの寮の規則、「寮内の恋愛禁止」とかいらないのでは。別に恋愛する分には全然いいと思いました。妊娠したとかいうのでなければ。あと、余談なんですが文章に誤りがあります。この章に「夜に金星」みたいなことが書かれてますが、物理的に夜に金星はみえませんので。見えるのは日中の太陽の光が弱くなる時間帯の朝の明け方と、夕方だけです。
5.ラブソング
白田さんは通を気取ってるミーハーなキャラが若干うざいです。辻本君に恋するあたりはかわいいですが。

6.担任稼業
ここで、「タンポポのわたげみたいだね」のサトが出てきます。やっぱり、なんかこのサトって子はイラッとします、個人的に。この先生もちゃんと言ってくれって、むずむずしてきます。そしてやけに、話が短いです。

7.雪の降る町、春に散る花
佐々木くんと、秋元さんとの淡い恋物語。片方が上京することになるからってわかれるっていうのはどうなんでしょう。具体的に、そこにふれてないですが。好きな気持ちってそんな簡単に収まりつくことなんでしょうか。まだ、20歳も越えてないのに、遠距離恋愛だからわかれるとか言って欲しくないですね。結婚適齢期とか、婚活する歳の人達ならともかく。


さりげないですが、個人的には他人で知らないはずなのに、どこかで関係し合っているという北高を背景とした人の関係性を描いたところがよかったですね。苦言としては、色々なキャラがいましたが、どれもこれも同じ思考、感情の持ち主ばっかりで名前が違うだけの同一キャラみたいな感覚でした。作品はわるくもないし取り立てて良いというのも違う感じです。

小説とは関係ないですが、個人的な思ったことがあります。
「美談という意味での評価」は「面白さという意味での評価」を飲み込むなあということです。

例えば、私は本を選ぶときはだいたい人の意見、レビューを参考にして高評価された小説をチョイスして読みます。私が恋愛小説、青春小説、ヒューマン小説、教訓を伴う小説を選んだとしたら、みんなの評価が上記のどちらの評価基準で語られているか分からないのです。この道徳的価値がある趣向の小説には得てして「面白さ」の評価は最小限消化され「美談」の評価を直に反映されやすい気がするのです。

だから、人のレビューの評価が「美談」の方向に向いているか、「面白さ」のほうか向いているのか判断基準するのが凄く重要だなと思い直しました。なんだ、そんな周知の事実かと思われるかもしれませんが、それを見分けるのが個人的には凄く難しいのです。

そういう意味で、私個人の悪あがきとしては、私がこの趣向の小説たちを評価する時はなるべく「面白さという意味での評価」を重視することを意識したいなと思います。なんか著者さん達にとても失礼な厚かましい話ですが、ここに書かないと忘れてしまいそうな自分の思いつきなので、記録を残すと言う意味で羞恥を承知で書きました。


そんな細かい事はさておき、この頃、檸檬の頃が青春と呼ぶに一番ふさわしいってことですね。隣で、近くで、悩んだり、恋をしてたりする。その淡い想いが檸檬のように舌で沁みます。

そして私の考え方は檸檬のようにいつまでも酸っぱいです。

素敵な言葉どもが記事の跡
「ルパンとレモン」より
突然、横に秋元の手が伸びた。俺はほぼ反射のようにして秋元の腕をつかんで止めた。秋元の人指し指が「開」ボタンをぴっと指していた。

「降りんな!」

「こんなとこで降りて、そのあとどうすんだお前は!こっから20キロ歩けんのか!」

「だって!」

「秋元は逃げたいのかもしんないけど、逃げなくていんだよ」

「俺、秋元の迷惑になるようなことしないから。見るなって言うんだったら、もう見ない。富蔵と一緒に教室行ったり、しない...」

「すきだったよ」

「西、かっこよくて、いっつもクールで、でもときどき変に素直で...」

そんなこともあるかもね。




最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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