小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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闇の守り人 (新潮文庫)闇の守り人 (新潮文庫)
(2007/06)
上橋 菜穂子

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前書き
<第2章 カンバル王国>
ユサ山脈の「山の王」が眠る地。
山々がそびえ、山頂に雪が降り積もる寒々しい実りが少ないこの地には、

「山の王」から送り物、
ルイシャ<青光石>は、カンバルの宝である。

20年に一度あるルイシャ贈りの儀式は、
八部族からなるカンバル王国の王朝や民にとっての餓えを防ぎ、
家族を養っていくための大切なもの。

しかし、苦々しい陰謀、事件が渦巻いた先王の時代、先王の崩御から数十年、いまだ、儀式は起こる予兆さえ見せていない。<闇の守り人>を家来とすると聞く「山の王」からの儀式の合図はまったく起きる気配がない。

そんな時分、
 新ヨゴ皇国の地からカンバルの地へ通ずる洞窟へ足を踏み入れる女の姿が・・・
   

ジャンル・タグ 
ファンタジー・重量感(中)・中華モンゴルな部族王国・いたみの懐郷地・「王」と「王」の誓い・愛すべき人に送るレクイエム

評価  
最高  

守り人シリーズ第2作目。第1作に続いての抜群の安定感。王道のファンタジー世界へ私達をいざないます。物語は引き継ぎですが、一話完結だから「闇の守り人」からも読み解けます。ファンタジー好きなら必見です。冬の季節がオススメです。

感想ネタバレ↓
異世界ファンタジーの王道をひた走るストーリー展開となっています。とはいえ、他のメジャーなファンタジーに劣らずも、上橋さんの読者の心を盛り上げるセンス、才覚には、毎度まいど度肝を抜かれる思いです。いつも通り、説明上手で、文章はとても読みやすいです。ほしい時に欲しい情報だけ与えて、ストーリーが流れていって欲しいなぁと思う前に次の話が進むので、展開が停滞してイライラするというストレスが少ないと思います。儀式が始まる件はもう早かったです。物語にくぎづけでした。

今回のお話は「精霊の守り人」の後の話です。主人公バルサが新ヨゴ皇国の第二皇子チャグム<精霊の守り人>と別れ、バルサが故郷、カンバルの地へ約30年ぐらいぶり訪れた時のストーリーです。

「精霊の守り人」では、チャグムとの過ごすことで、なぜ唯一無二の保護者ジグロが自分の地位、家族、生活をすべて捨てて、親友の娘バルサを守ることを良しとしてきたかということをわかりました。本当の意味でジグロの目線から、誰かを支え守る事を理解できたバルサ。バルサの中でジグロの事を整理できた今、ジグロの親族への真実を伝える事、あるいは伝えなくとも過去に蹴りをつけるための故郷への帰還が始まります。


バルサには心残りがあったのです。ジグロの親族への思いや自分の氏族のこと、父のこと。故郷に戻り、心のゆとりができた今、傷を見つめます。
<本文より>
身体は傷は、時が経てば癒える。だが、心の底についた傷は、忘れようとすればするほど、深くなっていくものだ。それを癒す方法はただひとつ。きちんと、その傷を見つめることしかない。


バルサの思いとは裏腹に、ジグロの親族は、ジグロについて憎しみ、腫れ物に触るように消極的でありました。それは、ジグロはカンバルでは、王国の裏切り者としての悪のレッテルをはられていたのです。

闇の中にうずめて、忘れ去った過去を、日のもとにさらしても、人を傷つけるだけかもしれない。過去はうずめたままにした方がよいとわかれば、ジグロの親族と会わずにカンバルを出よう。そして、二度と故郷へはもどるまい。

ジグロのことを思うと凄く悲しいし、切ないですね。事実はすでに、彼らのもとに届いて、もう解決済みの失敗ごとして処理されていたということですか。「それは真実じゃないのに」といってやれない、伝わらない歯がゆい思いがします。真実を知りたいことより、いかにして、ジグロという忌々しい事実を消すかにじっと耐えてきたということでしょうか。たとえ、それが嘘の作られた事実だとしても。実際、親族の立場に立てば、現実の生活どう暮らしていくかということがもっと重要であったことなのかもしれないです。当然、部族の土地は豊かでもなく暮らし向きが裕福でもなく、その日を精いっぱい生きていかなくてはならないということですね。

しかし、そういう一面があるとしても、そのジグロの家族の思いにはある裏があったのです。弟のユグロがあんな憎しみを抱えていたとは。どういう形で憎しみ、感情をうむかは本当にわからないものですね。

それしても、ユグロと<王の槍>、カンバル王国の権力掌握の仕方はなんとなく、獣の奏者のダミヤ、<堅き楯>、真王国の権力構図と類似した感覚がありました。☆5なのは、こういう構図がすきなんでしょうね、私は。もちろん、上橋さんの本だからということもあります。関係ない事ですが、個人的には獣の奏者の方が好きです。

なんといっても、守り人シリーズが魅力的な要素は人間以外の存在が大きいですね。例えば、ティティ・ラン<オコジョを狩る狩人>、トゥ・カル<大きい兄弟>、チル・カル<小さい兄弟>、ヒョウル<闇の守り人>、スーティ・ラン<水流の狩人>
読んだ時、オコジョってなんだって思ったですけど、googleで調べたら、すごくかわいい動物ですね。チワワよりつぶらない瞳...(*´Д`)ハァハァ

そして、目に見える世界と見えない世界が繋がっている世界。カンバル語でノユークをトゥ・カル<大きい兄弟>、牧童達が知っているということは、自然と深く付き合っていると、ノユークと接する機会は多いのかもしれないですね。「精霊の守り人」のヤクーも、そうですし。ノユーク、ナユグも、もうひとつの世界、別の世界と語られていますが、個人的に思うのはノユーク、ナユグも、守り人シリーズの「大陸」の一部なんだと思いました。最初はノユーク、ナユグも守り人シリーズの「大陸」とは異質な異次元の世界というイメージでしたが、別物じゃなくて、大陸の一面、大陸の本質の一部、見えていない、「氷山の一角」のようなものなんでしょうか。
目にはつかない形ですが、どの地域でもこの現象が見られるので。(妄想です)


嘘をつくときほど、人の目を真直ぐにみたほうがよいことを、ユグロはよく知っていた。そして、嘘は、真実のあいだに、ほどよくはさめば、より真実味が増す。ひとには信じたいことがある。その人が信じたがっていることをいってやれば、たとえ嘘でも、人は、じつに簡単に信じ込むものなのだ。

目が揺らぐと嘘をついている、人の目をまっすぐ見ると真意を語っている等のいままで、そういう一般観念であったことの裏をつくとはこういうことでしょうか。今まで、その事になんの疑問も抱きませんでしたが、改めて言われてみるとなるほどな、そういうこともあるのかもしれないなぁと思いました。

今回もいい作品でした。次はどんな物語が待ってるんですか。楽しみです。

ヒトメモ
カンバル語
ヒョウル<闇の守り人>
ティティ・ラン<オコジョを狩る狩人>・・・<地下の民>
トゥ・ラン<大きい狩人>・・・カンバル氏族<地上の民>
トゥ・カル<大きい兄弟>・・・牧童<地上地下の民>
チル・カル<小さい兄弟>・・・<地下の民>
スーティ・ラン<水流の狩人>・・・<地下の民>

素敵な言葉どもが記事の跡
かっこよかったなぁ。
バルサは、冷たい笑みをうかべて、ユグロを見つめた。

「たいしたもんだ。口のうまさじゃ、とてもあんたにかないそうにない。わたしを地の底の民だといいはるんなら、それでもいいよ。あんたの芝居に乗ってやる。

だが、<舞い手>は、最強の槍使いがなるものなのだろう?」

「ジグロの槍がどんなものか、その身で知るがいい」

バルサは腹に響く声でどなった。

「ムサ氏族のユグロよ、ジグロに育てられたヨンサ氏族のバルサが、きさまに挑戦する。
ヒョウル<闇の守り人>よ、しっかり見きわめたまえ。どちらが、ほんとうの<舞い手>であるかを!」

バルサが、その言葉を発したとたん、儀式場の光がふっとうすれた。
・・・儀式場にいる全ての者が、ぞっとしてあたりを見回した。





最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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この記事へのコメント
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしています。
2010/09/13(月) 18:15 | URL | 藍色 #-[ 編集]
Re: タイトルなし
トラックバックさせていただきました。

2010/09/14(火) 03:41 | URL | リリ #-[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015/04/22(水) 16:54 | | #[ 編集]
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2010/09/13(月) 18:14:27 | 粋な提案
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