小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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黒い家 (角川ホラー文庫)黒い家 (角川ホラー文庫)
(1998/12)
貴志 祐介

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前書き
19世紀のイタリアの医学者、
チェザーレ・ロンブローゾは犯罪者の約3分の1が生来性犯罪者であると考えた。
生まれた時から潜在的に犯罪者になる可能性があるということ。

彼らは人類において「劣等人種」であり「人格障害者」であるということを示したのだ。
害悪である「劣等人種」は隔離あるいは追放するべき存在であり、彼らを排除した後には人類は今まで以上に進化し、犯罪のないユートピアが期待出来る。


何が問題か。

「狼の皮をかぶった羊」よりも「羊の皮をかぶった狼」の方がとても危険であるということ。


善意を装った偏屈的なものの考え方にこそ、偏屈に開いた隙間に「悪魔」の入り込む余地がある。そして偏屈的な善意あるいは無意識の差別が、決して生まれることのなかった新たな憎悪に満ちた「悪魔」を作り上げることとなるのだ。後者の「悪魔」より前者の「悪魔」の方が断然タチが悪いのだ。


常に「狼の皮をかぶった羊」を作り出してしまうのは、「羊の皮をかぶった狼」であることを忘れてはならない。


ジャンル・タグ 
ホラーサスペンス・現代風・重量感(中)・ストックホルム症候群・保険金自殺の目撃者・死臭漂う黒い家・指狩り族の男・黒い寡婦ブラックウイドウ・蜘蛛の夢


評価  
素敵 

貴志さんの名作の一つ。今読むと時代錯誤を感じる部分(携帯電話の普及・ワープロ等)がありますが、ホラーのスリルは全く色褪せません。見えない恐怖より恐怖の正体の行動に寒気がします。恐怖の正体は序盤あるいは中盤である程度推測でき、ホラーでも、サスペンスの要素が強いです。物語の展開のアクティブさを楽しみましょう。※残忍な表現が含まれています。苦手な人は注意。

感想ネタバレ↓
ひさびさに読んだんですが、今読んでもとても面白いと思います。ただ犯人はだれか予測はしやすいかもしれないです。「天使の囀り」でも思ったことですが、貴志さんの小説は昆虫の知識・表現が多いですね。特にどららにも言えるのは蜘蛛の知識・表現が豊富。貴志さん、虫がすきなんですかねw

個人的には「天使の囀り」の方が好きですね。悪意のない恐怖っていうのがぞっとしてわくわくしました。「黒い家」はどっちかというと、恐怖の正体、犯人の常識から考えて常軌を逸している行動・言動に恐怖するというものでした。なんというかストーカーにつけ狙われているような恐怖感があると思います。


中盤で話に出てきた指狩り族のくだりは正直吐き気がして、本当に吐きそうになりました。指の切断の仕方が具体的に記載してあって、どっからそんな情報つかんできたんだろうかと貴志の徹底ぶりに感服。ちょうど、電車の中で立って読んでいたんですが、吐けるに吐けない状況だったので、焦りました。怖いのは別に大丈夫なですが、リアリティのあるグロィ表現はどうしても苦手です。映像でも、言葉でも。だったらホラー見るなってことになりますが、怖いもの見たさですね。


<本文より>
「社会に本当に害毒を流しているのは、わかりやすい人格障害をもった人よりも、むしろ、一見普通の人間なんだと思うわ」


本書ではあたかも、犯人の尋常な考え方、偏執的な言動・行動が悪のような扱いですが、その考えを育ませた環境・周りの人間に一番責任があるのかもしれないということなのでしょうね。そのことを、物語が終焉を迎えた後に貴志さんが伝えたかったのでしょうか。

主人公が生命保険の会社で働いていて、文章にも随時、生命保険の実態と仕組みが浮き彫りになって参考になりました。本書の話題にあがる生命保険が私たちの家族に不意の事故が起きた時に不自由がないようにとそのニーズに答え作られたにもかかわらず、家族を故意に貶めることによって保険金を受け取る事に悪用されるのは皮肉な話です。それほど「人生はお金がすべて」といえるような、お金で解決できる現在の拝金主義を風刺し象徴しているような小説でした。多少年代が古いにしても、それはいまも変わらないので、うなずける部分は多々あると思います。



素敵な言葉どもが記事の跡
「今日、帰ってくるって知らなかったから、夕飯の用意、してないよ」
「知らなかったじゃなくて、忘れてたんだろ?」
母親は若槻の抗議を無視して続けた。
「だから、すき焼きでも、食べ行こか」
すき焼き屋に入って母親が名前を告げると、不思議なことにさっと座敷に通された。予約が入っていたのだと若槻は気がついた。
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