小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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秋 プリズンホテル(2) (プリズンホテル) (集英社文庫)秋 プリズンホテル(2) (プリズンホテル) (集英社文庫)
(2001/07/19)
浅田 次郎

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前書き
「ヨタとばしてねえで、とっとと帰ったらどうでえ。
―ありがとうございやした、またどうぞお越し下せえ」

仲蔵親分は紋付袴で客を送った。
 

ジャンル・タグ 
ヒューマンコメディ・昭和・重量感(中)・ヤクザと刑事の狭間・鉄砲玉付きの無礼講・老刑事の晴れ舞台・指名手配犯の決意

評価  
良書

プリズンホテルの第2作目。コメディの色合いを出しながら、最終的に涙を誘うようにドラマティックに演出する小説です。舞台は昭和と平成との変わり目の時期です。(だと思います。初老の男がでてくるんですが、戦争に行っているという設定があるので1980年代から90年代の間だと思います)

ホテルを運営するヤクザがお客様を最高のおもてなしをするストーリー。お馴染みの登場人物が多数登場します。「夏」と同様に、コメディのドタバタ劇が始まります。感動もの、お涙頂戴本が好きな人は見てみるといいですよ。初見で読むなら、第1作目の「夏」の方がおススメです。正直、「夏」の方が面白いです。気が向いたときに「秋」をお楽しみください。


感想ネタバレ↓
時期が秋で、それにあわせてこのプリズンホテルの第2作「秋」を選択しました。さすがに、前作、「夏」をブログにアップしてから時期をあけ過ぎてしまいました。しかも、なぜかこのブログでは、「プリズンホテル〈1〉夏」が人気というか、長期でよく閲覧されているようなので需要があると思い紹介してみました。プリズンホテルはマイナー作で紹介している人も少ないからネット検索にひっかかりやすいという理由なのだと個人的には思っています。が、いい本です。この後のタイトルの「冬」「春」は当分先になるでしょう。仕事の都合上、UPする頻度も落ちてきているので。

「秋」は第1作目の「夏」とくらべると、個人的には読みおとりしました。積読書を読むように、内容は覚えていなくても、ストーリーがどのように展開していくか予想できてしまうという欠点がこの「秋」にはありました。きっと、「冬」「春」にも言えるかもしれません。デジャヴは払いきれません。

しかし、前作に登場した主要キャラクターは今回も活躍し、それぞれの持ち味を発揮しています。2作目からは、キャラクター、仲おじのしぶさを見たい、小説家のツンデレを見たい、ゴンザレスのハチャメチャを見たい、そういう馴染みの世界観を浸りたいときにくるべきなんだと思います。なんといっても、この小説のいいところは、リアル、日常生活では、目上にあたる人であったり、地位が上だったりする人に対して、目下の人や社会的地位が低位に位置する人が活躍し評価を上げている点が、無礼講などない現実世界に浸った私たちは決して惹かれる部分なんだと思います。そして、前作にひき続き、そこが面白い。今回は万年、巡査部長という老刑事がヤクザのドンと知り合いで酒を飲みかわす仲だったり、老刑事の定年の最後に大仕事を華々しく決めるところに浅田さんの手腕が見え隠れしています。


素敵な言葉どもが記事の跡

最低な小説家の清子の子・美加へのデレ

「先生、ひとつだけミカのおねがいをきいてください。ミカはもうなにもいらないから、ミッキーちゃんもこのままでいいから…おかしとか、おようふくとかも、なにもいらないから…」
「なんだよ、はっきり言え」
「先生のこと…パパってよんでもいいですか…やっぱり、だめですか…」

「だめじゃない。だが、パパはいやだ。おとうさん、と呼べ」
「おとうさん?…ミカの、おとうさん」

「そうだ。それでいい。でもおとうさんは、パパみたいにミカを抱いてやったり、一緒に遊んでやったりはできない。きっと背中を向けて、カリカリと字を書いているだけだ。それでもいいのか」

「いいです。それでいいです。それでいいです。ミカ、先生のこと、すきだから」
「おとうさんと呼べって言ったろう」

ぼくは美加を抱きしめた。こらえ続けていた悲しみを吐き出すように、美加は大声を上げて泣き出した。
ぼくが抱きしめているもの、それは何なのだろう。風にそよぎ立つ少女の髪が瞼を刺し、慄える腕の中で小さな骨が鳴った。


「おまえ、絵描きになれ。芸大に行くんだ。いい塾に通って、家庭教師もつけて、絵具も、イーゼルも、なんだって買ってやる。そうだ、ルーブルへ行こう。ダヴィンチもゴッホもルノアールも、今のうちみんなみておくんだ」

「そんな…おかね、かかります…」

「金ならある。いくらだってある。いや、そんなものしか俺はもっていないんだ。いいか、おまえは天才だ。才能を汚しちゃいけないんだ。いいな、ミカ、がんばれ。才能に涙はいらない。おまえの汗で磨くんだぞ」

「あい」と美加は誓うように肯いた。





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