小説の感想・レビューです。ネタバレあり。物凄く更新遅いです。ご了承ください。訪問ありがとうございます。
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アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)アーモンド入りチョコレートのワルツ (角川文庫)
(2005/06/25)
森 絵都

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前書き
エリック・アルフレッド・レスリ・サティ「音楽界の異端児」と呼ばれた二十世紀前半の音楽家がいました。
ピアノの絹子先生と私はそのサティの曲の話でよく盛り上がります。「大音楽家の肖像と生涯」という本でサティの顔を初めて見たときは変わり者とは思えず、笑顔で大声でしゃべりかけてきそうなおじさんにしか見えなかったです。

先生はどんな理由かわからないですが、実際に「サティ」をフランスから連れてきました。
フランス人のそのおじさんはサティにとても似ていて、「サティおじさん」と呼ばれました。彼が来て以来、ピアノのレッスンの日が楽しくてしょうがなかったです。絹子先生とサティおじさんのつくりだす「ワルツ」は私も、友達の君絵も心躍る思いでした。

長く続けばいいと思っていました。
アーモンド入りのチョコレートがくるくる回るようにいつまでも。


ジャンル・タグ 
青春(学園)、ヒューマン、恋愛、重量感(小)、夏休みの友達の別荘、二人だけの音楽室、アットホームで騒がしいピアノレッスン、本「大音楽家の肖像と生涯」

評価  
良書

群ようこさん、梨木香歩さん、川上弘美さん、湯本香樹実さんの小説のようなほのぼのした小説が好きな人におすすめ。サクサク読めて、すぐ読み終えられます。読むときのストレスは少ないです。3編の短編集で、小中高学生が主役で登場する青春小説、あるいは学園小説です。恋愛要素は一つの物語だけ微量含んでいます。どこかやさしくて暖かめな内容となっています。きれいで軽快な青春小説の王道をゆく一冊。ビターチョコとはいかず、どこまでミルクチョコな小説。味わいは一つだけじゃ物足りない人は別なチョコを探しましょう。

感想ネタバレ↓
森さんの小説はカラフル以来で二冊目。この本を読んでみて感じることは森さんの小説は読者にとても親切な書き方をしてくれます。まず、地の文、会話文を一定の頻度で組み合わせて、読むときのストレスが感じにくいと思います。また、漢字は少なめで読みやすくなっています。漢字が少なくて、逆に違和感があることはこの本ではないと思います。風景描写が少なめで、地名など固有名詞も少なくキャラクターもニックネームを使うので読者は覚えやすく飲み込みやすい小説に出来上がっています。小説をあまり読まない人や「長い話はちょっと…」という人にはうってつけの本でしょう。

タイトルにも、装丁にも、章の題名にもクラシックのまつわる語なので、音楽関係仕事をしている人の話か、音楽好きが主人公の話かと想像していたのですが、ちょっぴり視点が違うみたいです。いわゆるのだめカンタービレ的な何かを想像していたのです。装丁もタイトルも私の好みだったのでつい、手を出してしまいました。といっても、アマゾンで届いてみたら、装丁がピアノのけん盤の写真ではなく、花模様の絵と全然違うので残念でした。

子供は眠る ロベルト・シューマン<子供の情景>より ☆☆☆
『夏の庭』湯本香樹実の小説を彷彿とさせる物語でした。5人の少年たちが、毎年訪れる夏を友達の章くんの別荘で過ごす日々。遊んで、勉強して、眠たくなるクラシックを聴いて。ひと夏を存分に味わう毎日。その中で迷いや不満、葛藤がうずまいて、しかし自分たちで思いを伝え合うことで大人へ一つ成長していきます。小中学生に向けての物語という感じでした。

彼女のアリア J・S・バッハ<ゴルドベルグ変奏曲>より ☆☆☆
ゴルドベルグ変奏曲は、不眠症の改善のためにできた曲だそうです。知らない男子生徒と知らない女子生徒が不眠症からつながる関係。青春系の話。そこから二人の古い音楽室の関係が始まります。正直、起承転結、起、承が不満がありました。出会い方がちょっと先急ぎ過ぎで、強引な出会い方なのが嫌でした。藤谷のセリフの一回だけあった詩人的なセリフが違和感がありました。ストーリーは簡潔にまとめていて軽快に進むのですが、それが味がないなとおもってしまいました。ただ、転で、想像していた展開と違ったので個人的に惹きつけるところがあり、そこから最後までさわやかな形で話が進んだのでよかったです。読み終わってみると、ストーリーの模範解答のような筋が通っていて癖がなく、きれいにまとめられた話でした。反面、寝かせといた年代物のワインとはいかず、飲みやすい口当たりのさっぱりした読み心地だけでした。とは言いつつ、最後の王道な終わり方は好きです。

アーモンド入りチョコレートのワルツ 
    エリック・サティ<童話音楽の献立表>より ☆☆☆
こちらは、作曲家エリック・サティ似のフランス人のおじさんと、主人公とピアノのレッスンの絹子先生と、友達の君絵の4人の喜怒哀楽なストーリー。ピアノのレッスンに絹子先生の知り合いの、サティおじさんがやってきてから、レッスンがある木曜日が楽しみになり、その中で、ドタバタ劇が始まります。これは、イメージでいうと、『西の魔女が死んだ』梨木香歩のような「誰々さんとの生活を楽しむ」、ホームドラマ仕立て。時に笑って、時に悩んで、泣いて。心が少し暖かくなるでしょう。ただ、前2作と同様に物足りなさ、あっけなさっていうのがあり、記憶には残らない作品ですね。あいかわらず、文章の構成と話の展開はとてもすばらしいです。

どうも、ほのぼのした小説は、ドラマチックが少なめなので面白さという点で、物足りなく思ってしまう節がありますね。私が小説に求めてるものがそれなのでしょう。だからといって、ほのぼのな小説を読むことをやめることはしません。「名作は必ずある」です。


素敵な言葉どもが記事の跡
生きていくのにこまらない財産があっても、それだけで人が生きていけるとはかぎらないでしょう。教え子のひとりひとりを大事にしながら、逆にどこかで、そのひとりひとりに支えられている。



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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